はじめに
OTDを知っている人いますか?
日頃Oracle製品を利用している方であれば、知っているかもしれません。
OTDとはOracle Traffic Directorの略で、いわゆるOracleの出しているソフトウェアロードバランサのことです。
ソフトウェアロードバランサといえば、他にはUltraMonkeyやApacheのmod_proxy_balancerモジュール、POUNDといったものがありますね。
逆にハードウェアロードバランサといえば、BIG-IPやA10といった有名どころがあります。
ていうか、そもそもOracleがロードバランサ?なんて疑問がありますが、Oracleはだいぶ前からExalogic,Exadataという、HWとSWを統合してより早くJavaやOracleDBが動くようにするための基盤を出しています。その早く動くための1つとしてロードバランサがExalogicに組み込まれたんですかね。
OTDの構成
OTDは考え方がBIG-IP等とは若干違い、やはりOracleという感じです。
下図のように基本的にリスナー、仮想サーバー、オリジン・サーバー・プールの3つの層となります。
また、2台構成でフェイルオーバー/フェイルバックさせる場合は、フェイルオーバーグループというのを組みます。
- リスナー
OracleDBと似たような感じで、リスナーにVIPとポートを割り当てます。
SSLをLBに持たせる場合は、リスナーもしくは仮想サーバーで設定することができます。
- 仮想サーバー
リスナーが受け取ったアクセス情報より、URIから異なるオリジン・サーバー・プールへ振り分けることや、リスナーと同様にSSLの設定等、様々なことをする層です。
- オリジン・サーバー・プール
オリジン・サーバーという振り先のアドレスとポートをまとめたものになります。ヘルスチェックの設定はここでやります。
- フェイルオーバーグループ
Act-Act、Act-Sbyといった構成を組む場合に、フェイルオーバーグループを組みます。フェイルオーバーグループはVIPごとに作成します。また、異なるフェイルオーバーグループに同一のVIPを割り当てることはできません。
サイレントインストール準備
GUIでインストールするようですが、GUI入れてるサーバーは少ないでしょうから、サイレントインストールという方法をとります。
サイレントという名の通り、GUIを起動せず、また項目の選択もせずインストールします。
- 必要なもの
- Fusion Middleware Infrastructure、OTDのインストーラjarファイル
- レスポンスファイル
- oraInst.locファイル
Fusion Middleware Infrastructureとは、OTD等のミドルウェアを管理するものみたいな感じです。
1.インストーラは以下からダウンロードします。サインインが必要なので、My Oracle SupportのIDを取得しておきます。(無料です)
Oracle Software Delivery Cloud
サインインをした後、「Fusion Middleware Infrastructure」と検索して「Oracle Fusion Middleware 12c Infrastructure 12.2.1.1.0」を選択、プラットフォームから「Linux x86-64」を選択します。
また、同様に「Oracle Traffic Director 12.2.1.1.0」で検索して「Oracle Traffic Director 12.2.1.1.0」を選択、プラットフォームから「Linux x86-64」を選択します。
選択したら、右の方にある「Continue」を押します。
画面が遷移したらもう一度「Continue」を押します。
そしてライセンス同意のチェックを入れて「Continue」を押します。
すると、ダウンロードリンクが出てきます。そこから以下の2つをダウンロードします。
・V138469-01.zip
・V266904-01.zip
2.レスポンスファイルは普通にFMW用とOTD用に2つ作ります。
基本的には上記をコピペでいいですが、ORACLE_HOMEは適宜インストールしたいディレクトリに変更してください。
3.次にoraInst.locファイルです。これは共通で使用します。
もしOracleDBやWLSをインストールしていたら、使用したものをコピーして使ったほうがいいです。
inst_groupはインストールするユーザーのグループを通常指定します。
サイレントインストール
必要なものは揃ったので、いよいよインストールしていきます。
インストールは以下のユーザー等で実施し、レスポンスファイルはホームディレクトリ、oraInst.locは/etc配下にあるものとします。
ユーザー | oracle |
グループ | oinstall |
ORACLE_HOME | /opt/oracle/otd12.2.1.1 |
まずは、インストール先のディレクトリを作成します。理由は簡単、/optはroot権限なのでoracleユーザーではディレクトリを作成できないため。
$ su - # mkdir -p /opt/oracle/{otd12.2.1.1,oraInventory} # chown -R oracle:oinstall /opt/oracle # exit
では、ダウンロードしたzipを解凍しつつ、インストールしていきます。
$ unzip V138469-01.zip $ java -jar fmw_12.2.1.1.0_infrastructure.jar -silent -responseFile /home/oracle/fmw_inst.rsp -invPtrLoc /etc/oraInst.loc
$ unzip V266904-01.zip $ ./fmw_12.2.1.1.0_otd_linux64.bin -silent -responseFile /home/oracle/otd_inst.rsp
エラーが出ていなければ、以上でインストールは完了です。
Warningはたいていは無視しても問題ないです。
次回はサイレントでドメイン作成していきます。